労働審判
1 はじめに
当事務所では、使用者側の 労働審判 についてご依頼を承っております。以下、労働審判についてご案内をいたします。
2 労働審判 の概要
労働審判は、次の点が特徴です。
対象が、使用者と従業員個人との間の労働事件に限られている。
労働組合を相手とする労働事件は対象外です。
訴訟に比べてスピーディーな解決を図ることができる。
原則3回しか期日が開かれません。その分、準備が大変です。
判断者(審判体)が、裁判官1名 + 使用者側の有識者1名 + 労働者側の有識者1名 の合議体(労働審判委員会)であり、訴訟よりも判断者の視点が多様で、納得感を得やすい。
有識者は、「労働審判員」として、労働審判官(裁判官)とともに労働審判を処理します。労働審判員とは、労働者又は使用者の立場で実際に労働紛争の処理等に携わった経験やその経験から培った知識を有する者の中から、最高裁判所によって任命されます(労働審判法第9条2項)。そして、個別の事件ごとに事件が係属している裁判所によって、指定されます(労働審判法第9条4項)。
労働審判で決着しない場合、訴訟に移行する。
話し合いがまとまらなければ、労働審判委員会が労働審判を下しますが、労働審判に対し2週間以内に異議の申立てがなされると、訴訟に移行します。異議申立がなければ、審判は確定します。
3 労働審判 の手続
申立人側が申立書及び証拠を裁判所に提出
申立書には、どのような審判を求めるのか、また、その理由は何なのかを記載します。
裁判所が期日を指定、当事者双方へ期日の呼び出し、相手方へ申立書の送付
相手方は答弁書及び証拠を提出
答弁書には、申立書記載内容について、認めるところや認めないところを明らかにするとともに、自身の主張を記載します。
労働審判手続期日(裁判所へ出頭)
※ 期日は原則として3回以内
期日では、審判体と申立人側、審判体と相手方側、という具合に、交互に審判体に話を聞いてもらいます。
なお、期日の前には、必要に応じて、それぞれ主張を記載した書面や証拠を出し合います。
審判体が調停案(和解案)を提示
(AかBに進みます。)
調停案に双方が納得すれば、調停が成立。
※ 労働審判申立事件の7割程度が調停で解決しています。
話し合いがまとまらなければ、審判の言渡し
※ 当事者のどちらかが異議を申し立てると、審判は確定せず、訴訟に移行。
4 労働審判 の費用
労働審判の費用は、①実費と②弁護士費用(弁護士に依頼する場合)が必要です。
① 実費
労働審判の申立を行う際は、申立書に添付する印紙代(申立手数料)と裁判所に納付する切手代が必要です。
印紙代は、申立の内容や請求額によって異なります。目安として、300万円の支払いを求める労働審判の申立てには、1万円の印紙が必要です。
また、切手代も、管轄の裁判所によって、納付額が異なる場合があります。横浜地方裁判所の場合は、4000円程度です(現金で納付する場合と、郵便切手で納める場合で、金額は変わります。)。
労働審判が始まってからかかる費用としては、裁判所への交通費等が必要です。
② 弁護士費用
当事務所で担当する場合の弁護士費用は、下記のとおりです。
金額は断りのない限り税込表示です。
着手金、成功報酬
経済的利益(請求額)にパーセンテージをかけて計算します。
経済的利益の額 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|
250万円以下 | 22万円 | 17.6% |
250万円を超えて300万円以下 | 8.8% | 17.6% |
300万円を超えて3000万円以下 | 5.5%+9.9万円 | 11%+19.8万円 |
3000万円を超えて3億円以下 | 3.3%+75.9万円 | 6.6%+151.8万円 |
3億円を超える場合 | 2.2%+405.9万円 | 4.4%+811.8万円 |
- 依頼時点で書面の提出期限まで3週間切っているような場合には、着手金が5万5000円~増額となります。
日当
遠隔地に移動が必要な場合に発生します。別途交通費がかかります。
出廷日当(裁判所への出廷)
- 神奈川県内の裁判所(町田簡裁を含む。)
- →1回1万1000円
- 都内の裁判所
- →1回1万6500円
- それ以外の裁判所(4時間で往復できる場合)
- →1回3万3000円
- それ以外の裁判所(4時間で往復できない場合)
- →1回5万5000円
出張日当(出廷以外で遠隔地に移動が必要な場合)
- 4時間で往復できる場合
- →1回3万3000円
- 4時間で往復できない場合
- →1回5万5000円