
1 このページの目的
相続 関係のご相談者から、「こんなことも頼めるとは知らなかった。」「こんなことを先生に頼んでよいのかわからなかった。」「もっと早くお願いすればよかった。」などというお話をときどき耳にします。
相続 で弁護士を依頼する場面については、調停や訴訟をイメージする方が多いかもしれません。もちろんそのような業務も弁護士が対応する業務ですが、それ以外にも、意外と広い範囲の業務について対応が可能です。
そこで、このページでは、相続 の準備(いわゆる終活)や、相続 が発生した後の手続について、
・実際にどのような動機で相続のご相談やご依頼があるのか
・どんなことを弁護士に依頼できるのか
・他の士業をご案内するケース
についてご紹介します。
なお、この内容は当事務所の現在の取扱状況に基づいたものであり、必ずしも他の法律事務所で同様に取り扱われるものではありませんので、その点はご注意下さい。
2 実際にどのような理由で 相続 の依頼や相談があるのか
まず始めに、相続について、どのような理由から依頼や相談する方がいらっしゃるのか、一例を挙げて概略を見ていきたいと思います。
理由1 忙しくて期限内に手続をすることが難しい。
相続手続には、期間制限があるものがあります。いくつか具体例を示します。
期間制限の具体例
・相続放棄:相続人になったことを知ってから3ヶ月(民法915条1項)(※ただし、期限までに手続を取れば延ばせます。)
・相続税の申告:相続開始を知ってから10ヶ月以内(相続税法27条1項)
・遺留分侵害請求:相続開始及び遺留分侵害行為を知ってから1年以内(民法1048条)
・相続登記:相続人になったこと、及び不動産を取得したことを知ってから3年以内(不動産登記法76条の2)
仕事がある等で忙しく、相続手続を期限までに行うことが難しい場合には、弁護士に依頼して代わりに手続を取ってもらうことにメリットがあります。1年あると思っていても、忙しければあっという間に過ぎてしまいます。
理由2 費用がかかっても、きっちり手続をしたい。
自分で手続をすると、「何か忘れていることがあるのではないか。」とか、相場感がないため後々まで「あれで良かったのだろうか。」と悩む方もいらっしゃいます。このような状況は避けたいという理由から、それならば費用をかけても弁護士に手続をしてもらいたいというニーズがあります。
理由3 他の 相続 人の主張に納得がいかない。何か言い返したい。
遺産分割で特定の相続人が遺産の大半を取得する案を出してきたとか、被相続人から生前たくさんの資産をもらっていたのに、遺産分割でも法定相続分をきっちり取ろうとしている相続人がいて不満を抱いている等、公平性に疑問が湧いて納得感が得られない場合には、相手の主張に反論する手段を探すことになります。
弁護士は、そのようなときに良いアイディアを出せるかもしれません。
理由4 相続 人や口出ししてくる第三者との間で揉めていて、当事者だけでは解決できそうにない。
相続ではまとまった資産が移動するので、相続人や、相続人の関係者としては、自己に有利に進めたいという心境になり易い状況にあります。そのため、相続人間で紛争が深刻化することもあり、一度そのような事態になってしまうと、なかなか当事者だけでは解決できなくなります。
そのようなときには、弁護士と共に遺産分割調停等を行い、法律に従った公平な解決を目指すことで出口を目指すのが、結局は最短距離だったりします。
理由5 すでに調停、審判や訴訟になってしまった。
調停、審判や訴訟を起こされてしまい、裁判所から届いた相手方作成の申立書や訴状を読んだものの、どのように対応して良いのかわからない場合には、弁護士に依頼することが選択肢の一つになります。また、調停、審判や訴訟は平日に行われ、解決までに何回も裁判所に行かなければならないので、仕事などでそれが難しい場合には、弁護士に依頼する動機になります。
理由6 遺留分侵害、寄与分、遺言の無効確認といった、専門性の高い主張をしたい。
遺留分侵害、寄与分、遺言の無効確認といった専門性の高い主張を行う場合には、弁護士の専門知識を借りて充実した主張立証を行うことが考えられます。過去の類似事例を探すだけでも、法律に馴染みのない方にはハードルが高いと感じられることもあろうかと思います。
理由7 負債が多いので、債務を支払わないで済む方法が知りたい。
相続放棄は、相続人になったことを知ってから3ヶ月以内(この期間は、期限内に手続を取れば伸ばせます。)に行う必要があるため、早めに行動する必要があります。
「限定承認」と言って、「相続するプラスの資産の範囲内で負債を負担する。」という相続方法もありますが、条件がある他、不動産の譲渡所得税のタイミングが早いなど、特殊なところがあります。
理由8 相続 が発生したが、何をどうしたら良いのか、全く見当がつかない。
どうしたら良いのか全くわからない場合には、わかっている人、すなわち弁護士に意見を求めることが有益だと思われます。
理由9 相続 人はおらず、自分も 相続 人ではないが、故人との従前の関係からみて、財産の分与を受けたい。
このような場合には、裁判所の裁量にはなってしまいますが、特別縁故者として遺産の分配を受けられる場合があります。


3 相続 のどのようなことを弁護士に依頼できるのか
相続に関して、弁護士にどのようなことを依頼できるのでしょうか。
実は、弁護士によって取り扱い分野は異なるので、個々の弁護士によって受任できる業務は変わります。以下では、当事務所で取り扱っている業務を中心に記載します。
1 全般
- 相続に関する各種の相談
- 相続人の調査、遺産の調査
2 相続 の準備(相続の発生前)
- 生前贈与の検討、贈与契約書の作成
- 遺言書の作成
- 資産の整理
具体例と弁護士に依頼する利点
資産の整理は、不要な動産や不動産の売却、使っていない口座の解約、家に溜まっている不要な家財の処分などがあります。
当事務所の弁護士は、破産管財人や相続財産清算人等の経験が多数あります。破産管財人や相続財産清算人は、裁判所から選任されて就任し、その業務の一つとして、破産者や相続財団の財産を売却して、その対価を債権者に配当するという業務があります。そのため、意外かもしれませんが、弁護士には不動産や動産売却の迅速な売却、処分について知見があります。
3 相続 の発生後
- 遺産分割協議書の作成
- 遺産分割協議の代理交渉、調停、審判、訴訟
- 相続放棄手続、限定承認手続
限定承認とは何でしょうか。
限定承認は、プラスの遺産の範囲内で相続するという相続の方法の一つです。マイナスの遺産が大きくても、プラスの遺産の範囲内でしか支払いをする必要がないので、相続人が相続前から有していた個人資産を確保できます。
しかし、次のような注意点もあります。
- 相続人全員が限定承認をする必要がある(民法923条) 。
- 相続人が複数いる場合には、相続財産管理人の選任が必要(=その分費用と時間がかかる。) 。
- 限定承認をした時点で、譲渡所得税が課される(不動産がある場合のみ。)。
なお、相続の方法には、他に「単純承認」と「放棄」があります。「単純承認」は、資産も債務も全部相続します。「放棄」は、資産も負債も全て相続しません。
- 遺産分割や遺言の実現:銀行等への各種手続、不動産や動産(車両等)の名義変更、売却、債務の弁済、住宅内や工場内の不用品処分(なお、弁護士に資産売却の知見があることについては、「こちら」をクリックの上ご参照ください。)
- 登記や相続税申告の手配
ポイント
登記は、簡易な相続登記であれば弊所で対応いたしますが、複雑な登記が必要な場合等、事案によっては司法書士に依頼することもあります。
相続税の申告は税理士を手配いたします。また、被相続人に事業収入や賃料収入があった場合などには、所得税の準確定申告が必要になることもあります。
4 特殊な業務
1 相続財産管理人、相続財産清算人の申立て
相続人は、たとえ相続放棄をしても、次の相続人に遺産を引き継ぐまでは、遺産を管理する必要があります(民法918条、940条1項)。この管理義務を免れるため等に、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任申立てを行うことがあります(民法897条の2)。
相続人が複数いる場合に限定承認を行なった際は、相続人の中から「相続財産清算人」が選任されます(民法936条1項)。また、相続人全員が相続放棄したり、戸籍上相続人となる者がいない等の事情により、相続人がいることが明らかでないときは、利害関係人等の請求により、「相続財産清算人」が選任されます(民法952条)。
「相続財産清算人」は、特別縁故者への財産分与を申し立てたり、事業用地として購入したい不動産の所有者が死亡しており相続人がいない場合等に当該不動産の売主になってもらったりする、と言うような場合に利用されます。
2 成年後見人等の申立て
共同相続人が認知症などで判断能力を失っている場合には、遺産分割を行うため、成年後見人等の選任が必要となります。
3 特別縁故者への財産分与申立て
相続人ではないが、故人と特別の縁故がある者(例えば、生前故人の療養看護に尽くした者。)に対しては、他に相続人がいない場合に限り、家庭裁判所が裁量で相続財産の中から財産を分与することができます(民法958条の2)。
この場合には、上記「1」のとおり、「相続財産清算人」の選任を申し立て、その後財産分与の申立てを行うことになります。
4 他の士業をご案内するケース
次のような場合には、他の士業をご案内することがあります。なお、当事務所でご紹介することも可能な場合があります。
- 贈与税の計算が必要
- 相続税の申告が必要
- 複雑な登記が必要
- 土地の分筆が必要
- 境界紛争があり測量が必要
5 弁護士費用、予約について
なお、遺産の分け方について当事者間に争いがなく、名義変更や換価を中心にご依頼の場合には、見積もりを作成いたします。下記予約フォームより、その旨をお知らせ下さい。
